HONE >> BIZ IDEA >> 2010年のマレーシアIT関連統計


はじめに

ITU: International Telecommunication Unionの統計ページにおいて、2010年における各国の情報通信に関する統計データが更新されていました。以下では、2011年10月に公開されていた統計データを元に、アセアン4ヶ国とシンガポールにおける情報通信事情についてのデータをまとめています。

携帯電話市場推移

2010年のデータを見ると、タイを含めた3ヵ国での携帯電話利用が、100人当りでの契約者数が100人超となった。また、インドネシアとフィリピンも高い成長を維持しており、数年内に普及率で100%超に達すると思われる。さらに、国別の契約者数では、やはり人口の多いインドネシアが高い数字を示しており、2億2,000万人を擁している。

[Mobile cellular subscriptions (per 100 inhabitants)]

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Information source:ITU

[Mobile cellular subscriptions (000s)]

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Information source:ITU

また、2005年から2010年における各国のCAGR(年平均成長率)は、マレーシア12.0%、インドネシア36.2%、タイ17.5%、シンガポール10.8%、フィリピン18.1%という数字になっており、いずれも2桁成長となっている。因みに、日本の携帯電話普及率は95.39%で、CAGRは4.6%。東南アジア諸国に比べると、低成長となっている。理由の一つには、東南アジア諸国では固定電話がそれほど普及していなかったことで、日本より携帯電話が普及しやすい環境にあった。また、携帯電話であれば電話線の引き込み工事も不要だし、余計な費用を掛けずに直ぐに使えるというメリットもある。

マレーシア市場における最近の傾向としては、ハイエンドなスマートフォン普及の高さが特徴として現れている。マレーシア人の所得水準からすると、スマートフォンは収入のかなりの部分を占めるはずだが、それでも売れ行きは好調である。携帯キャリアー各社も、スマートフォン端末に通話とSMS、データ通信を含めたパッケージ商品の販売に力を入れており、事業の柱としている。利用者動向としては、FacebookやTwitterというSNSサービスに対する人気が高く、Alexaが公開しているアクセスランキングではFacebookがGoogleを抑えて常に1位を維持している。メールは読まなくとも、Facebookには頻繁にアクセスすることから、スマートフォンによるSNS利用が最近のトレンドのように感じられる。

 

インターネット市場推移

次に、各国のインターネット普及状況に目を向けると、2007年以降はフィリピンを除く4カ国が頭打ちの状況にある。中でも、マレーシアは2010年には減少へと転じる現象が起こっている。マレーシア政府は、2010年10月末にブロードバンド普及率が53%超になったと発表したが、ITUの示す2010年のインターネット契約数は100人当りで55.30人でしかない。ここから推察するに、マレーシア政府機関はダイヤルアップなどの従量制の低速通信サービスの利用者以外をブロードバンド利用者と呼ぶことから、ITUの示すインターネット普及率とマレーシア政府発表のブロードバンド普及率がほぼ同じ数字であったと読み取れる。つまり、インターネット利用者数は大きく変動せず、単に多くの利用者がダイヤルアップから常時接続へ移行しただけということが考えられる。

[Fixed Internet subscriptions (per 100 inhabitants)]

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Information source:ITU

これを裏付ける一例として、インターネット利用者数は伸びていないのに、ブロードバンド利用者数は右肩上がりの成長となっている。ただ、ITUが定義するブロードバンドは2.0Mbps以上の通信速度を持つ「Fixed broadband」を対象としているため、各国が公表しているブロードバンド普及率よりは低い数字となっている。

域内のブロードバンド普及率では、シンガポール以外の国はかなり寂しい状況にあり、いずれも100人当りの契約者数は1桁の数字にとどまっている。また、アセアン各国の成長率そのものもそれほど高くなく、シンガポールの水準に達するにはかなりの年月を要すると言える。

[Fixed broadband subscriptions (per 100 inhabitants)]

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Information source:ITU

次に契約者数を見ると、マレーシアは域内で2番目の規模を誇っている。ただ、シンガポール以外の4ヶ国は普及率がそれ程高くないことから、ブロードバンド契約者数ではそれほど大きな差はまだ見られない。

[Fixed broadband subscriptions (000s)]

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Information source:ITU

マレーシアの場合、2010年の時点でのブロードバンド契約者数は100人当りで7.32人とまだまだ発展途上にある。2010年3月には、TMから光通信サービスHSBBがリリースされるなど、高速通信環境が国内に整備されてきたものの、価格が割高となっていることから普及率を押上げるには至っていない。利用者からも、「金持ちのためのインターネットサービス」と揶揄されており、価格帯の見直しが今後の高速通信普及の鍵となるだろう。逆に、1Mbps前後のワイヤレス通信は価格も安価で直ぐにサービスを利用できることから、ここ数年は一般利用者の市場を大きく拡大している。利用者の多くはSNSサービスを利用していることから、これらのサービスでもある程度満足できていることが伺える。また、ワイヤレス通信各社とも、LTEなど10Mbps超で安価な高速通信サービスの提供を目指しており、国内の通信環境の改善に大きく寄与するものと期待されている。

[Fixed broadband subscriptions]

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Information source:ITU

因みに、日本のインターネット普及率は80%で、ブロードバンド契約数は3,405.53万人、100人当りでは26.91人の契約者数となっている。また、中国のブロードバンド契約者数は1億2,633.7人に達しており、100人当りの契約者数は9.42人。アセアン各国は、ICT関連のアウトソーシングでインドや中国に次ぐ位置につけているが、通信環境においては着実に差が開きつつある。

 

 

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