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はじめに

FEC Int'l において、MMプロジェクトの一環であるアプリケーション開発の一つとして、マレーシア政府協力のもと、2005年より航空手荷物タグへのRFID技術の適用実証試験を複数回実施している。このプロジェクトにおいては、私はSENSTECH RFID社の一員としても参加している。同プロジェクトにおいて、私は実証試験グランドデザインや技術検証、事業計画書の策定、関連各社との打合せによる企業間調整、そして実証試験の実行と実証試験結果分析を業務としていた。特に初期段階では、私自身が技術部門でのプロジェクトマネージャー的な立場で実務運営を実施していたが、今はこれまで育成してきたFECの社員に全体のコーディネートを任せ、私自身は技術業務統括管理の立場で携わっている。

 

e-baggageプロジェクト

e-baggageプロジェクトの目的

e-baggageプロジェクトは、航空手荷物タグにRFID技術を採用することで、「ロストバゲージ低減」や「航空手荷物 のリアルタイムロケーション管理」、さらに「空港業務効率の向上」といったことの実現を目指した実証試験プロジェクトである。電子的に航空手荷物の情報が ネットワーク上でシームレスに管理できるといったことから、プロジェクトを「e-baggageプロジェクト」と呼んでいる。また、当該プロジェクトでは 第1次4カ年計画とし、最終年となる2008年度に国際標準への寄与を目指している。

e-baggageプロジェクトの方向性

近年、世界的に航空タグへRFIDチップを実装した事例が増えてきており、世間一般にも知られるようになった。世界で最初の大掛かりな導入事例は香港国際空港であり、当時このニュースはRFID業界に大きなインパクトを与えた。この事例を契機として、各国でも真剣にRFIDタグの導入が真剣に検討されることになったと言える。

ただ、香港国際空港の事例は空港内で経済効果を主目的に置いたものであり、海外の国際空港との連携、或いは国際標準への寄与と言う点は希薄であったと思われる。というのも、香港国際空港の場合はそれだけで十分な経済効果を見込むことができたからであり、e-baggageプロジェクトを実施しているKLIAとは事情や背景が大きく異なっていた。これはラスベガスのマッカラン国際空港においても同様である。

そのような状況の中で、e-baggageプロジェクトとして重視した方向性の一つとして、IATA(International Air Transportation Association : 国際民間輸送協会)の策定するRP1740c(Recommended Practice : 推奨事項)への寄与がある。そのための戦略やタスクは多岐に渡るが、大きなものとして下記を挙げることができる。

当初、この市場においてはRFIDチップ、R/W機器の両方を米国資本の1社が市場をほぼ占有していた。標準規格を策定する立場としては、できるだけ多くの製品種でのテスト結果を反映することが必要であり、e-baggageでは複数ベンダーの機器を導入し、常にベンチマークを行うことをしてきた。

IATAにおいては、かなり早い時期から導入を見据えた標準規格RP1740cのドラフトを仕上げていたものの、多くの技術が開発途上、或いは国際標準策定中のものであった。そのため、標準規格案に対する技術的裏付けや検証というものが絶対的に不足していたと言える。e-baggageでは、2005年の時点から既にUHF製品を採用し、現国際標準であるEPC C1 Gen2製品も他に先駆けて2006年より採用している。
(ただ、今現在でも技術的に履行できていない部分があり、ここは今後の課題である)

香港国際空港に代表されるように、各国で展開されている事例は空港内で完結しているものが多い。稀に国際空港間で相互乗入れによる実証試験は実施されているものの、データのトラザクションは既存のシステムからほぼ独立したものとなっている。e-baggageでは、2007年よりSITAと共同で既存のインフラ上にRFID用プラットフォームシステムを構築・運用している。これはウェブベースで個々の手荷物の所在やステータスをどこからでも管理できるなど、国際空港間での実運用に耐えられるものを目指している。

e-baggageプロジェクトでは、 いくつもの世界初が盛込まれ、且つ規模としてもかなり大きいものであると言える。さらに特筆すべきは、世界で初めてIATAとSITAを正式に巻き込んだ実証試験という位置づけであろう。そして2008年4月現在、第1次4ヵ年計画の目標であった国際標準への寄与という目的はほぼ達成されつつある。第2次計画では、実導入を目指した展開とする予定であり、機会があればこのページに情報を載せたいと思う。

 

関連リンク

 IATA – Radio Frequency ID (RFID) for aviation

 IATA - RFID BUSINESS CASE FOR BAGGAGE (PDF)
  (e-baggageについても触れられています)

 FEC International (M) SDN BHD



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